外出先で子どもが落ち着かず、困ってしまったという経験のある人は少なくないでしょう。そんなときに、周りの人が優しく対応してくれるとありがたいですよね。

今回紹介するのは「病院の待合室で親子に声をかけたこと」についてのエピソードです。

イラスト:23ca

病院の待合室で

メイ(仮名)さんが、大学病院の小児科の待合室にいたときのことです。待合室には待ち時間が長くて飽きてしまったのか、落ち着きがなく、他の人に所構わず話しかける2歳くらいの男の子と、必死に止めようとするお母さんがいました。

男の子は、いろいろなことに興味があるようで、お母さんが引き戻してもすぐにすり抜けてしまいます。

待合室にいた他の人たちは、男の子が話しかけてきてもやんわり対応したり、座る場所を変えたりしていました。我が子の相手だけでも大変なのに、他の子までは気にかけていられないのが実情です。

すると、メイさんのところに来た男の子。メイさんはそのまま男の子と会話をすることに。すると、男の子のお母さんはメイさんに謝り、すぐに引き離そうとしました。

しかし、メイさんは「うちの子も話したいようなので、ここよかったらどうぞ」と引き留めました。

そして「子どもは子ども同士のほうが楽しいですよね。この病院、2階にキッズルームがあるので、もし診察までまだ時間がかかるなら一緒に行きませんか?うちの子が行きたがっているので、一緒に遊んでくれると助かります」と提案しました。

受付の方に確認すると、2人ともまだ時間がかかりそうとのことだったので、キッズルームへ移動しました。

悩んでいたお母さんに

このときの出来事について、メイさんに話を聞きました。

ーメイさんはどうしてキッズルームへ移動するという提案をしたのでしょうか。
男の子のお母さんの「なぜ言うことが聞けないの」という気持ちがわかるからです。まるで我が子の小さいときを見ているようでした。我が子より2歳ほど歳下の同じ男の子、我が子が同じくらいの時期は私も同じように手を焼いていました。何度言っても手を振りほどいて脱走をしてまったく言うことが聞けず、毎日イライラしていました。その男の子とお母さんを見ていて、そのときの感情や思い出が蘇り、おせっかいかとは思いましたが思わず誘ってしまいました。

ーメイさんが取った行動で、男の子のお母さんはどういった反応をしていましたか?
最初は「申し訳ないです」「ほら、こっちにおいで」「やめて」と何度も謝って連れ戻そうとしていましたが「どうぞ」と言ったあとからホッとしたような、戸惑うような表情をしていました。隣に座ってから子どもの年齢を聞かれ「これくらいになれば落ち着きますか?」と思い詰めた表情で質問されました。周りにたくさんの同じくらいの月齢の子がいましたが、こんなに落ち着きないのはうちの子だけなのかと心配していたようです。キッズルームへ移動したあと、私たちだけだったので、泣きながら「不安で仕方がない、他の子と比べてしまいノイローゼになりそう」と話してくれました。

ーその後、男の子のお母さんはどんな様子でしたか?
我が子が2歳のときはもっと落ち着きなく動いていたこと、いろいろなことに興味があるのはよいことだと肯定していたら、少しずつ落ち着きました。思い詰めていた表情が少し和らいだ感じでした。

「病院の待合室で親子に声をかけたこと②」イラスト:23ca

ーご自身がした行動について、どう思いましたか?
おせっかいかとは思いましたが、お母さんの表情や雰囲気を見て、声をかけてよかったと思いました。他人の方が話しやすいこともあるので。そのあとも、知らない子が話しかけてきても余裕があるときは相手をするようにしています。

ーこの経験を通して、同じような状況で悩む方にどのようなことを伝えたいですか?
同じような経験をしたことがある人は意外とたくさんいます。子どもは誰しもわがままです。誰かに不安や愚痴をこぼすのは悪いことではありません。お母さん、お父さんの心を保つためにも他人に話すことも必要です。適度に息抜きして育児を楽しみましょう。

育児で辛いときは、つい自分だけ…と思ってしまうこともありますが、同じような思いや経験をしている人は意外と多いのかもしれません。誰かに話してみることで、気持ちが軽くなることもあるので、思い詰めずに吐き出していくとよさそうですね。

※こちらは実際にユーザーから募集したエピソードをもとに記事化しています。

この記事の写真一覧はこちら