公共の場所で起こるトラブルは、電車内で起こることが多いと感じる人もいるのではないでしょうか。
ちょっとした言い争いから大きな問題に発展することも。すぐ側で揉め事が起こったとき、みなさんならどうしますか。今回はそんな車内トラブルのエピソードです。

イラスト:23ca

罵声を浴びせられて

キョウコさん(仮名)は仕事帰りの電車に1人で乗車していました。
キョウコさんは接客業をしていて、その日は1組のお客様に時間がかかってしまい2時間残業をしたばかりで疲れ果てていました。
車内は混み合っていて一般席には座れる座席がなく、疲れと眠気で立っていられなかったので唯一空いていた優先席に座ることに。
すると杖をついた男性が乗ってきたのですぐに席を譲ろうとしましたが、眠気でふらついてしまいました。
その様子を見て男性は「今の若いもんは、演技をしてでも座りたいのか」と罵声を発してきたのです。
キョウコさんはショックを受け黙っていました。
しかし、隣に座っていた高齢の女性がキョウコさんの具合が悪いのをずっと見ていてくれたのか「ずいぶん大きな声ですね」という言葉とともに、若い人を守るような言葉で反撃をしてくれました。
その後男性は「生意気な」と言って車両を変えていきました。
キョウコさんは女性に「ありがとうございました」と言うと、女性は車掌さんを見ながら「1番前の車両じゃなかったら怖くて言えていなかったかしら」と言いました。

そのときの話をキョウコさんに聞いてみました。

勇敢な女性

ー助けてもらったとき、相手に対してどう思いましたか?また、なんと伝えましたか?

優先席に座っていた私が悪いことはわかっていました。
しかし、その女性はただ暴言に反論したのではなく、隣の席に同席しただけの私への心配りと、敬意まで払ってくれたことに驚きました。また感謝の念でいっぱいでした。
「本当にありがとうございました」とお礼を言いました。

ー相手の方とはその後何か会話をしましたか?その際、どのような会話をしたのか教えてください。

「本当の私は気が強い方なので、いつもだったら「今、譲るわよ」と言い返していたかもしれません」と言うと「今は見て見ぬふりの人が増えたわよね」と笑いあいました。

トラブルを避けることと勇気を持つこと

ーこの体験を通して、何か意識していることや気持ちの変化などはありましたか?

臆することなく言いたいことをはっきり言うという勇気も、とても大切なことだと再確認しました。
ただ、そのときは状況をきちんとみて、何事も起こらないことを確認しなければとも思いました。

ーこの経験を誰かに話したことはありますか?ある場合、どんな反応や返答がありましたか?

両親に話すと「昔は日本人もそういう人がちゃんといたのに減ったわね」と言われました。

予想もしないことが起こり、さぞかしキョウコさんも怖かったのではないでしょうか。
助けてくれた女性の勇敢で的確な行動により、トラブルがおさまったことは本当によかったですね。
不特定多数の人が集まる電車の中では、予想外のトラブルが起きてしまうこともあるでしょう。
公共交通機関では、お互いが気持ちよく利用できるように心がけていきたいですね。

※こちらは実際にユーザーから募集したエピソードをもとに記事化しています。

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