岡山県津山市にある岡山県作陽高等学校。開学から93年の歴史を刻んだ津山の地に別れを告げ、2023年4月から岡山県倉敷市に移転します。そんな作陽高校は今、引っ越しの真っ最中。在校生約240人が津山市から倉敷市へ大移動します。

岡山県作陽高等学校 野村雅之校長(写真提供:岡山県作陽高等学校)

野村校長に、校舎移転について話を聞きました。

「津山の校舎から新校舎までは車で約1時間半。これまで自宅から通っていた生徒のほとんどが、新校舎近くの学校指定宿舎へ引っ越すようになります。また本校の場合は寮生も多いので、彼らは今住んでいる寮から学校指定宿舎へ引っ越し、あるいは寮から自宅へ引っ越しです。生徒240人と教員が春休み中に大移動し、それから生活や業務が落ち着くまで時間が必要です。そのため今年は、3学期の終業式を3月2日に行い、4月の始業式と入学式も通常より10日ほど遅らせて実施します」

2023年3月1日に行われた卒業式の様子

3月1日に行われた卒業式には、作陽高校の卒業生で俳優のオダギリジョーさんがサプライズ登場。これは津山校舎での最後の卒業式ということで何か思い出に残ることをと生徒会が企画したものです。しかも今年の卒業生は、高校3年間をずっとコロナとともに過ごしてきた学年。さまざまな制限や我慢を強いられた高校生活が終わりを迎え、さらにこの校舎ともお別れ、そんな日に素敵なサプライズとなりました。

3年生169人が卒業しました

「昨年ぐらいから、卒業生がよく学校に来てくれるようになりました。やはり自分の母校が移転するということで最後に校舎をひと目見ておこうという気持ちになるんですね。1月にはプロゴルファーの渋野日向子さんも校舎を見に来られました」

たくさんの思い出が詰まった津山市の旧校舎(写真提供:岡山県作陽高等学校)

サッカーを通して地域に貢献することを目指し、サッカー部の指導をする一方で行政とともにスポーツツーリズムにも取り組んできた野村校長。校舎移転という一大イベントを前に、生徒たちにこんな話をしたそうです。

「終業式の日、これから始まる引っ越し作業について生徒には『壮大な修学旅行ととらえてほしい』と伝えました。修学旅行は自分たちで計画を立てたり、行った先の人と交流したりしますよね。またサッカー部では、コロナ前はずっと海外遠征もしていたんです。遠征先でも団体行動じゃなく極力個人行動をとらせていて、それが人間的な成長につながっていました。校舎移転に伴う引っ越しも、『やらされる』ではなく一つの経験として前向きにとらえて取り組んでほしいですね」

生徒による引っ越しの様子(写真提供:岡山県作陽高等学校)

最後に、倉敷という新しい場所での目標について聞きました。

「開学からの理念である、一人ひとりの成長、人間性と人間力の向上を促すことはこれからも大切にしていきます。そのうえで、本校はスポーツのイメージが強いですが実は進学指導も実績があるので、そこをブランディングし強化していきたいです。もちろんストロングポイントであるスポーツや音楽といった面も生かしつつ、また新校舎は駅や高速道路からのアクセスもいいですから、今後はスポーツツーリズムやスクールツーリズムを通して学校を中心としたエリアの交流人口を増やす役割も担っていければと思います」

倉敷市に建設された新校舎。名前も新たに作陽学園高等学校としてスタートします(写真提供:岡山県作陽高等学校)

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