色とりどりのフルーツで飾り付けられた、華やかなスイーツ。実はこれ、焼肉店で販売しているものなんです。その焼肉店とは、香川県高松市にある「香蘭 西宝町店」。コロナ禍で苦しい状況を何とかしようと、2020年春から焼肉弁当とスイーツの販売を始めました。
スイーツを作っているのは、香蘭 西宝町店の店主の娘で、「BAKE LABO KOURAN」代表の青木美紗さん。これまで神戸の人気パティスリーや焼菓子専門店、高松のパンケーキ店やカフェなど、さまざまな店でスイーツ作りに携わってきました。そのスイーツ作りのこだわりは、体にやさしい素材で作ること。卵は綾川町の木下鶏園から仕入れる讃岐コーチンの卵やオリーブ卵、砂糖は三温糖ときび糖、黒糖の3種をブレンドしたものを使うなど、一つ一つの素材にこだわって、「明日も食べたくなるスイーツ」を目指しています。

季節のフルーツをふんだんに取り入れています

体にやさしい素材で作る本格スイーツ

スイーツ作りだけでなく仕入れから配送まですべて一人で担当

「とくにフルーツの鮮度とおいしさにはこだわっています」と青木さん。少しでも新鮮なものを仕入れたいという思いから産直で生産者を待ち構えて直談判するなど、熱意と行動力が生産者との縁をつなぎました。直接仕入れることで、食べ頃など食材のことを教えてもらえるほか、どんな思いで、どんな苦労を経て作られているかということも知るようになり、よりいっそう「素材を大切にしよう」という思いが深まったそうです。

シフォンケーキをフルーツでデコレーション

きっかけは「留守番おやつ」

青木さんがもともと好きだったスイーツ作りに真剣に取り組み始めたのは、子どもたちがきっかけでした。

「神戸に住んでいた頃、子どもたちは小学校3年生と1年生。まだ小さかったんですが、仕事で家を空けるためお留守番をさせることが多かったんです。誰もいない家に帰ってくる子どもたちに、何か少しでも楽しみをと考えたのが『留守番おやつ』でした」

シフォンケーキのほか、「農家さんのフルーツとパンナコッタ」や「木下鶏園さんの卵プリン」など気まぐれスイーツも登場

「朝、おやつを作ってから仕事へ行き、子どもたちはそれを楽しみに帰ってくる。私が仕事から帰ると『おいしかったよ』と感想を言ってくれて、それでまた自分も頑張ろうと思える。仕事が忙しく、なかなか子どもたちとの時間が持てなかったけれど、手づくりのおやつがささやかなコミュニケーションになっていたと思います」

リピーター客からは、記念日やイベントのケーキなどのオーダーを直接受けることも

明日も食べたくなるものを

体にやさしいだけでなくもちろん味にもこだわっていて、なかでも生クリームは最も大切にしていると言います。

「以前働いていた神戸のパティスリーで、『また食べたいと思ってもらえるものを作らなくちゃいけない』と言われたことがすごく残っていて。スイーツって、食べたときはおいしくても後で胸やけしたり胃もたれしたりすることがありますよね。その原因の一つが生クリームなんです。KOURANのスイーツは、『明日も食べたい』と思ってもらえることが目標。ちゃんと甘くておいしいけれど、スッキリ軽くて後に残らない生クリーム作りを心がけています」

販売店舗や商品が並ぶ時間などは、インスタグラムで通知しています

BAKE LABO KOURANのスイーツは、香蘭 西宝町店のほか、TSUTAYA西宝店や丸亀町の菜園sマルシェでも週に1度販売しています。そのほか、リピーター客や旧知の友人たちは直接まとまった数をオーダーしてくれることも。

「素晴らしい農家さんと出会えて、私のスイーツをおいしいと言ってくれるお客さんがいて。本当にありがたいと思います。注文が多いときは忙しくて目が回りそうなときもあるけれど、絶対に手を抜きたくない。ちゃんと自分が納得できるものを、自信をもって提供していきたいです」

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