今、94歳のおじいちゃんと犬との間に起きた、ちょっとした奇跡が話題になっています。

食べることも治療も拒否、このままだと、あと数週間…と病院で衰弱していくおじいちゃん。家族は“在宅看取り”を選択して、家に連れ帰りました。家に帰ると、おじいちゃんは愛犬の「遊ぼう!」攻撃を受けます。それがリハビリとなり、おじいちゃんは寝たきりの状態から自分で立って車椅子にうつれるようになったのです。この94歳のおじいちゃんと、愛犬ソナの様子がInstagramに投稿され、110万回以上再生されるなど話題になっています。

投稿者であるvivi.sona_amyさんに話を聞きました。

【Instagram】投稿された動画を見る

おじいちゃんのコロナ感染

この動画の約1か月前、おじいちゃんは新型コロナウイルスに感染。94歳と高齢であるため「急変の可能性がある」との理由で、すぐにコロナ病棟に入院しました。ただ、おじいちゃんは、若い頃から病院が大嫌い。健康診断すら受けていない程だったそうです。「元気に生涯現役」を掲げて、89歳まで自分の会社の経営をしていた元気なおじいちゃんでした。
そして、入院したコロナ病棟では、食事や酸素吸入を拒否。薬も飲めていないような状態だったため、「家族の誰かが食べ慣れているものを持参し声掛けして食べさせてほしい」と病院から話があったといいます。転院しても、「食事拒否」「治療拒否」「ここはどこだ...」とパニック状態。転院2日目には、話すことや寝返りも打てなくなり、またオムツになったことでトイレに行く気力も失くしてしまい、反応もなく寝続けるという状態になってしまいました。
そして、ついに医師からこう告げられます。

「このままの状態が続くと、今年は(もたないかな)…ということもあるので覚悟してください。家族が『おじいちゃんと一緒に過ごしたい!』という希望があれば、帰ってもいいです。事情があって『それはできないな』ということであれば、時が来るのを待つという状態で入院を継続することになります」

vivi.sona_amyさんは、すぐに家に連れて帰りたいと思ったそうです。幸いにも往診の医師の全面協力により、“在宅看取り”希望で、おじいちゃんは自宅に帰りました。病院の医師からは、「自力で車に移ることも、家族がサポートして車に乗せることも困難」と判断があり、医療タクシーで帰宅したそうです。

ソナの「遊ぼう」攻撃におじいちゃんは

家に帰ってきて3時間後、それまでおじいちゃんの帰宅に気が付いていなかったソナは、おじいちゃんの咳払いに反応し、急いで傍に駆け寄りました。介護ベッドの柵の間から鼻を突っ込み「遊ぼう!遊ぼう!」と大興奮でおじいちゃんの手を鼻で突っつき始めました。

すると、おじいちゃんが急に大きな声で
「ヴィヴィか!ヴィヴィちゃんか!!!ヴィヴィちゃーん!!!」
と、いきなり正気に戻ったように反応して、自分で体を起こし、ソナを触り始めたのです。vivi.sona_amyさんは、車椅子を用意してベッドの側に持っていったところ、おじいちゃんが自力でベッドから立ち上がり、車椅子に移動。ソナを抱き上げようとしたそうです。

『朝から何やら楽しそうな2人。』(vivi.sona_amyさんより提供)

おじいちゃんがヴィヴィと言っているのは、ソナの先代犬のヴィヴィアンのことです。ヴィヴィは、2021年の1月に亡くなり、おじいちゃんもその事実を認識しているはずですが、vivi.sona_amyさんが「ヴィヴィの弟のソナだよ!」と何度説明しても、おじいちゃんは、「ヴィヴィ」と呼んでしまうそうです。

ソナは、家族の中で誰よりも遊んでくれて、食べ物まで分けてくれるおじいちゃんのことが特別に大好きで、おじいちゃんに会ったその日から、添い寝をし「ヴィヴィー」と呼ばれても、「おじいちゃんからそう呼ばれたら自分のことなんだ…」と認識しているそうです。

『今年の1月に愛犬ヴィヴィを亡くし、毎日毎日「ヴィヴィ~!」と叫び続けていた93歳のおじいちゃん。』(vivi.sona_amyさんより提供)

“在宅看取り”から“在宅介護”へ

“在宅看取り”の状態で病院から帰ってきたおじいちゃんでしたが、ソナとの触れ合いも増えて、徐々に体調が回復していったそうです。

「最近、嬉しいことに、訪問看護師さんや、ヘルパーさん達から『おじいちゃん、元気になって…遂に、“在宅看取り”から“在宅介護”になりましたね!!』というお言葉をいただきました。ショートステイ先で手をかけてくださり、家に戻る度にどんどん元気になっています。家では、ソナとボール遊びやおもちゃの引っ張り合いをして遊んでいるため、筋力が戻ってきました。」

『ソナ、大好きな看護師さんに遊んでもらってご満悦』(vivi.sona_amyさんより提供)

そんなおじいちゃんですが、2023年2月10日で、95歳になります。家族としては「出来る限り最後まで、本人の希望通り在宅で」と考えているそうですが、おじいちゃんの状態によっては家で看られなくなる時も来るかもしれません。

「ソナは、生まれてから今日までみんなに可愛がってもらって、人間が大好きです。実は、ソナにセラピードッグの資格を取らせようと思っています。祖父だけでなく、他の老人介護施設などにお邪魔して、セラピードッグとしてボランティア活動に参加させていただける日が来たらいいなー。と思っています」

セラピードッグの資格を取ればおじいちゃんが施設や病院にいても会う事が出来ます。ソナがおじいちゃんに「遊ぼう」と言える日が1日でも長く続くことを願っています。

この記事の写真一覧はこちら