行き場をなくした犬や猫を救いたい! 子どもたちの思いが届きつながる命

小学4年生のときから犬や猫の保護活動を続けている鈴木愛葉(まなは)さん。写真は中学生の頃
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小学4年生のときから犬や猫の保護活動を続けている鈴木愛葉(まなは)さん。写真は中学生の頃
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香川県に拠点を置く動物愛護団体ワンニャンピースマイル。この団体の代表を務めるのは、高校2年生の鈴木愛葉さんです。彼女が動物愛護の活動を始めたのは小学4年生のとき。最初は手書きのチラシ配りから始まりました。
10歳のとき、自分が住む香川県が犬の殺処分数全国ワースト1であることを知った愛葉さん。ちょうど大切な家族の一員である愛犬シルバーを亡くしたばかりで、同じ犬や猫の命が簡単に奪われていることに衝撃を受けました。動物の命を救うために自分にできることは何かと考えた愛葉さんは、自作のチラシを配り始めます。
それを知った周囲の大人たちのサポートによって彼女の活動は徐々に広く知られるようになり、2017年、ワンニャンピースマイルが誕生。愛葉さんの思いを伝えるツールのひとつとして、愛葉さんとシルバーの物語を綴った絵本『愛犬シルバーが教えてくれたこと』を、クラウドファンディングで資金を集めて自費出版しました。
ワンニャンピースマイルの特徴は、小学生から高校生までの子どもたちによって構成されていること。2020年のテレビ出演をきっかけに、愛葉さんの思いに共感する子どもたちが全国に現れ、今では東京や神奈川、茨城、福岡、岡山に支部をもっています。支部のメンバーたちは、自宅で譲渡前の犬や猫を預かったり、支部のあるエリア内で行われている動物愛護イベントに参加するなど、自分でできる活動を続けています。
そのうち、岡山支部は2022年3月にできたばかりですが、さっそく命をつなぐ活動が始まっています。岡山支部のメンバーの知り合いが、香川県の動物愛護センターから引き取った犬の里親に手を挙げてくれたのです。まさに子どもたちの思いがつながった瞬間です。香川県と岡山県は隣県ということもあり、香川で保護している犬を岡山の譲渡会へ連れていくなど、遠い場所にある支部では難しかった活動もできるようになりました。
積極的に人前に出て活動しているように見える愛葉さんですが、実は小学校4年生の頃から不登校が続いていました。その理由の一つが発達障害。体調がすぐれないことも多く、人と積極的にかかわることも避けるようになっていた愛葉さんが、「犬や猫の命を大切にしてほしい」「殺処分をなくしたい」という一心でチラシ配りをしたり大勢の前に出たりするようになったのです。そこには「自分と同じように発達障害や不登校で困っている子どもたちのなかには、犬や猫との関わりを必要としている子がいる」という思いもありました。
譲渡会や啓発イベントなど地道な活動を通して少しずつ支援者を増やし、その結果メディアにも取り上げられるようになって全国に支部を持つまでになったワンニャンピースマイル。「同じような気持ちの子どもたちが増えてほしい」と愛葉さんは言います。
「最初の支部である神奈川支部ができたのが2020年。その後も支部は増えていきましたが、まだ直接会ったことのないメンバーもいます。コロナが落ち着いたら、支部の子たちと一緒にイベントができたらなと思います」
支部が増え、メンバーが増えることで、少しでも多くの犬や猫の預かり先を確保したい。そして、預かりメンバーとしてサポートしてくれる協力者ももっと増やしていきたい。そう話す愛葉さんが今、香川県にもっとも必要だと感じているのが、迷子になったり保護された野良犬・野良猫を収容する保護施設。そして愛玩動物看護師になって、その施設で働くことを目標にしています。少しでも多くの命を救いたい。その思いで、愛葉さんは仲間とともにこれからも活動を続けていきます。