夏になると食べたくなるそうめん。冷たく冷やした細い麺は、食欲が落ちがちな暑い日でもスルスルと食べられて、見た目にも涼やかですよね。日本人になじみの深いそうめんですが、実は7月7日が「そうめんの日」だと知っている人は少ないのでは? 「そうめんの日」制定の理由や、そうめんにまつわる豆知識を紹介します。

「そうめんの日」制定の理由

「そうめんの日」制定の理由について、全国乾麺協同組合連合会(以下「全乾麺」)副会長の木下敬三さんに聞きました。

「宮中の儀式や作法を記した『延喜式』によると、そうめんの原型といわれる『索餅(さくへい)』が、七夕の儀式に供えられていたとあります。また、中国から伝わった五節句のひとつである七夕には、そうめんを糸に見立て、布を織ったりする芸事が上達するようにと願って食べたという説もあります。このように、そうめんが日本古来の七夕の行事に欠かせないものであったことから、7月7日をそうめんの日と定めました」

全乾麺副会長の木下敬三さんは、香川県で製粉会社を経営しています

実は「そうめんの日」が制定されたのは1982年。2022年でちょうど40回目となります。
「麺に関する記念日はたくさんありますが、多くは2000年以降に制定されたもので、そうめんの日が制定された1980年代には1980年にうどんの日、1986年に盛岡冷麺の日、1988年にチャンポン麺の日が制定されていました。これらは麺の記念日のはしりと言っていいでしょうね」

暑い日でもツルッと食べられて、手軽に作れるのも魅力です(提供:木下製粉株式会社)

冬には「にゅうめんの日」もある

木下さんによると、「そうめんの日」が制定された40年前は日本で年間35万トンの乾麺のそうめんが生産されていましたが、今では19万トンにまで減っています。「それだけ日本人の食が多様化したということですね。麺だけをとっても、冷凍やチルドの商品が当時に比べて各段に増えています」

日本人におなじみのそうめん。乾麺のそうめんは、ゆでると重さが約3倍になります(提供:木下製粉株式会社)

そんなそうめんを食べてもらう機会を増やそうと、全乾麺が2021年に制定したのが、2月5日「にゅうめんの日」。実はこの2月5日を提案したのが木下さんです。

「そうめんの消費量が少ない冬にもそうめんを食べてもらおうと、にゅうめんの日を制定したいと全乾麺で話が上がりました。そこで、『にゅうめん』の『にゅう』に、2と5(中国語読みでウー)を当てて2月5日で提案したら、それが採用されました。なんのひねりもない、ただの語呂です」と笑いながら教えてくれました。

2023年はそうめんサミットを開催

そうめんの発祥は奈良県の三輪地方といわれており、そこから「揖保乃糸」で有名な兵庫県、「島の光」で知られる香川県小豆島へと製法が伝わったとされています。この3つの産地は現在、日本三大そうめんとなっています。

「そうめんの消費拡大のため、2016年にはじめて『そうめんサミット』を開催しました。全国の生産者や関連業者が集まって来場者にそうめんを食べてもらうイベントです。2018年には三輪で開催。その後コロナで間が空いてしまいましたが、2023年には小豆島で開催を予定しています」

そうめんだけでなくさまざまな麺や瀬戸内の食習慣にもくわしい木下さん

小麦粉を練って作るそうめんですが、途中の行程で油も使われています。その油は「揖保乃糸」は綿実油、「島の光」はごま油を使っています。「そうめんなんてどこの産地でも同じ」と思っている人もいるかもしれませんが、実は食べ比べてみるとその違いがわかるかもしれません。この夏は、いろいろな産地のそうめんを食べて暑さを乗り切りたいものです。

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