家電量販店勤務歴10年 家電YouTuber・まさとパパの配信にかける思いとは

まさとパパこと中村雅人さん
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中村雅人(まさとパパ)さんは、「まさとパパの家電チャンネル」を中心に活動する家電YouTuber。「知らないことで損する人を減らしたいですね」と語る中村さんに、YouTubeとして活動を始めたきっかけや配信への思いを尋ねた。
中村さんの動画には「家電量販店勤務歴10年」と自身の経歴紹介が冒頭にある。しかし中村さんは家電製品の販売員ではなく、10年間ネット回線の販売員をしていた。当時ネット回線を売ろうとしても、うまくいかなかったと中村さんは語る。
「やっぱり、家電製品を買いに来るお客さんですからね。まずは、お客さんが求めている家電製品の情報を説明して、買い物に付き合ってからでないと、ネット回線の話を聞いてもらえなかったんです」
ネット回線を売るためには、家電製品の知識が必要と考えた中村さん。ところが、さほど家電製品に興味を持ったことがなく、メーカーのカタログを読んでも情報が頭に入ってこない。それならば、家電製品の販売員から情報を得ようと、中村さんは動き出した。
エアコンや掃除機などあらゆるコーナーを回り、各担当者から日々情報を集めた。
しかし、中村さんはあくまでもネット回線の販売員。家電製品を売り上げても、営業成績につながらない。日々の忙しさに加えて体力的な大変さもあり、中村さんはネット回線販売の仕事を10年続けたのち、退職。
転職に向けた有休消化中、余裕のできた中村さんはYouTubeと出合う。たくさんの動画やクリエイターの存在を知り、「自分も何か発信できるのではないか」とYouTubeに興味が湧き始めた。
決まった転職先は、司法書士事務所だった。かつて、消費者金融に勤めていた中村さんの経験が債務整理などに生かせることが採用の決め手となったそう。
ところが、思うように給料が上がらない。何か収入につながることはないだろうかと考え、中村さんはYouTube配信を思いつく。
消費者金融での勤務時代、お金を借りに来る人が利息などの知識を持っていないことに驚き、知らないことで損する人を減らしたいとずっと思っていたと中村さんは語る。まずはお金の知識を学べる動画を配信してみることに。
「初めて撮った動画は下手くそですけど、自分なりに凝っているんです(笑)たった10秒のオープニングの編集に、半日かけましたね」
配信から1週間経っても、視聴回数は5にも満たない。損している人に情報を届けるにはどうしたらよいのだろうかと、中村さんは悩んだ。
そんなとき司法書士事務所の同僚から、「扇風機とサーキュレーターの違いを教えてほしい」と聞かれたことを思い出す。
「家電量販店の人からしたら常識だけど、その違いを知らない人もいるのだと知ったんです」
試しに、扇風機とサーキュレーターの違いを説明する動画を配信。すると、驚くほど再生回数が伸びた。
中村さんが目指す「知らないで損する人を減らす」ことに、自分が持つ家電製品の知識もつながるかもしれない。そう感じた中村さんは本業をやりながら、家電の知識を学べる動画を配信するように。
「まさとパパの家電チャンネル」は、リーズナブルな家電を求めて家電量販店にやってくるファミリー層をターゲットとしているため、新製品の紹介より、旧モデルの情報が多い。
中村さんは多くの人がベストな「買い時」に買い物ができるよう、家電製品ごとに時期を考えながら工夫して動画を配信しているそうだ。
チャンネル登録者数が3万人を超えた頃、中村さんはYouTuberとして独立を考える。そして2021年12月、中村さんは本業を辞めて専業YouTuberとなった。
現在、中村さんは「まさとパパの家電チャンネル」で、週に2本ほど動画を配信している。動画に寄せられるコメントには、基本的に返信しているそう。
「視聴者さんはコメントするのに勇気を出してくれたと思うので、返信したいですね」
コメントには質問も多く寄せられる。自身の知識で答えられないときは、家電メーカーのホームページから情報を集めて返信することも。中村さんは「洗濯機はちょっと苦手なんですけどね」と笑いながら語った。
「『役立ちました』や、『いい買い物ができました』などのコメント、家電量販店の方からの『参考になりました』のようなコメントがいただけると、やっぱりうれしいですね。チャンネル登録者数が10万人を超えるとYouTubeから贈られる銀の盾も、いつか欲しいと思っています」