月の力と植物の力を借りて染めをする―そんなコンセプトの草木染め工房が、香川県小豆島にあります。「草木染めだから植物はわかるけど、月の力って何?」と思った人も多いでしょう。ここ月樹舎(つききしゃ)では、新月と満月の日に染めを行っているのです。

自然由来のもので、ていねいに染める

月樹舎の植松優子さん。

元々植物が好きだったという植松さん。最初はアロマや漢方など植物が持つ効能に注目していましたが自然と染めにも興味を持つようになったとか。

月樹舎で作っているのは、ニットや腹巻き、レッグウォーマーなど体を温めるもの。素材は肌にやさしいコットンやシルクを使っています。

染めに使うのは、身近な植物。自宅の庭でとれたものや知人から譲り受けたものなど、その季節に手に入る植物を、とにかく興味の向くままに染めに使っています。

工房の窓いっぱいに広がる瀬戸内海。月が昇ってくるのもよく見えるそうです。

「日本では嫌われ者のイメージが強いセイタカアワダチソウも使います。染めていると、その名の通り泡立ってくるんです。おもしろいでしょう。色も、黄色とか緑のきれいな色が出るんですよ」

自然豊かな場所で、自然の流れや四季のめぐりを大切にした暮らしを送っています。

“新月”と“満月”の日に染める

植松さんに、新月と満月の日に染める理由を聞きました。

「たとえば潮の満ち引きのように、地球は月の引力に影響を受けていますよね。そして女性の体と心も、月の影響を受けている。それなら、人間と同じように水分をたくさん蓄えている植物だって、月の影響を受けているんじゃないかなと思ったんです」

ふわふわもこもこのレッグウォーマー。冬だけでなく夏も冷えが気になる女性の強い味方。

 「新月と満月の日は、月の影響力がもっとも強くなる日。そんな日に自然の植物を使って染めることは、自然の法則にかなっていると思うし、植物の持っているパワーをより引きだせるような気がして。もちろんハッキリと数値で測れるものではなく、単なる感覚なんですけどね」

タグの刺繡に使う糸の色もさまざまです。

商品にはすべて手づくりのタグが付いています。そこに施された刺繍は、そのアイテムが新月の日に染めたものか、満月の日に染めたものかを示すものです。

人生を変えた草木染め

植松さんは言います。

「私は植物と相性がよくて、染めることがとても楽しい。次は何を使って染めようかと考えるのも楽しいし、苦にもならない。そんな風に好きなことをさせてもらっているのに『ありがとう』と言ってもらえる。染めが仕事になることで、人生が変わりました」

これからも女性の健康としあわせのために、温かいしあわせを届け続けていきます。

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