ライフコーチとして人生やキャリアに悩む女性たちをサポートしている、ハンプトン純さん。「1対1」のコーチングを大切にし、彼女たちがセッション後に自ら一歩を踏み出せるような対話をしている。大手旅行会社で働く傍ら、パラレルワーカーとしてコーチング活動をしていたが、「自分が情熱を注げるコーチングに全力投球したい」「輝くママの姿を娘に見せたい」と強く感じ、2021年8月に独立した。

純さんはコーチングの他に、オンラインコミュニティの運営やグループビジネス講座、ブランディングやSNSのコンサルティングなども手がけている。すべての活動のベースにあるのは、「女性の生き方や働き方の選択肢を増やしたい」「女性が自分らしく命を輝かせてほしい」という思い。「コーチは天職」だと語る純さんに、活動を始めたきっかけや日々大切にしていること、コーチングの魅力について尋ねた。

きっかけは娘の存在。彼女の存在が生きる原動力であり、活動の原点

愛娘のカリスタちゃん。彼女がいたから、自分の人生と向き合うことができた。

純さんは娘のカリスタちゃんが1歳になったとき、彼女の未来や生き方について考えたという。「なにか自分の情熱を注げることや好きなこと、わくわくできることで人や社会の役に立って生きていけたら、凄く幸せだろうな」という思いがこみ上げた。しかしそれと同時に、彼女の一番近くにいる自分がそれを体現できていない事実に気づかされたという。

「大好きな家族がいて、好きな旅行業界で働けて幸せなはずなのに、当時の私には情熱を注げる何かが足りなかったんです」

それに気づいてからは早かった。学生時代から興味があり、入社後も営業に役立つからと独学で学んでいたコーチングや心理学。無料セッションを始め、コーチングを受けた人の変化やセッション後に届く感謝のメッセージに心が躍った。一方で独学では不安もあったため、スクールに入って一から学びなおした。

ちょうど同じ頃、会社が社員の副業を認めるようになった。迷うことなく兼業申請を出した純さんは、パラレルワーカーへ転身。本業とコーチング、そして家事・育児の両立を不安視する周囲をよそに「こんなにも自分が楽しめて誰かの役に立っている」ことに喜びを感じ、苦痛に感じることはなかったと当時を振り返る。

違和感を覚えたときに、独立を決めた

ある日、本業の仕事をしていると、ふと体が止まった。「私、目の前にある仕事に情熱を注げている?これでいいの?」という問いが降ってきたという。答えはノーだった。

日ごろからコーチングやコミュニティでは、「自分の人生には何が必要?」「心の声を聴こうよ」と伝えている。しかし、そのメッセージを発信している自分自身が目の前の仕事にワクワクできていない、100%の情熱を注げていないという事実に違和感を覚え、覚悟が決まった。すぐに夫のトリスタンさんに話し、翌日には退職の意向を上司に告げた。

純さんの可能性を誰よりも信じている夫トリスタンさんと娘のカリスタちゃん。

独立してからの半年は「自分を生きている」と日々感じている。自分で計画を立て、それに合わせて自分で行動する。「制限がない人生はこんなにも幸せなんだ」ということに気づかされた。

自分自身が笑顔でいられることを大切に

笑顔は心と体の健康あってこそ。

純さんが日ごろから特に大切にしているのは、優先順位をつけること。目標達成や自己成長、成功はあくまでもそのベースが整った先にあるものだと考えている。

「まずは、自分自身の心と体の健康。それがあってはじめて自分も笑顔でいられるし、家族や周りの人たちを大事にできるというベースが整うと思うんです」

最近は「余白をつくること」も大切にするようになったという。背景にあるのは、独立直後に気合を入れすぎてがむしゃらに走り、心も体も疲れてしまった経験。その後、仕事量を意識的に減らして余白をつくった結果、良い循環が生まれ、仕事は順調に進んだ。

自分で自分に気づかせるのはなかなか難しい

自分自身もアップデートを続けているという純さん。

1対1の対話を通して、相手が自然と次の一歩を踏み出せるようになるのがコーチングの魅力だと語る純さん。「自分が本当に感じていることや欲しいものは何か」「人生のこのタイミングにおいて何を大切にしていきたいのか」という点を整理することで、自己理解や自己受容につながったり、感謝の気持ちが生まれてきたりする。これを自分だけでやったり、日常の中で自分に向き合う時間をつくったりするのが難しいからこそ、コーチングが必要だと考える。

「コーチングのクライアントさんやコミュニティメンバーの変化や成長を日々目の当たりにする中で、私もアップデートしていきたいと強く思わされます」

実は純さん自身も、自分のコーチから定期的にコーチングを受けている。自分と対話し、成長を続けるために。

ママになっても夢を追いかけ、楽しく生きる

ママが楽しく生きる姿、輝く姿を娘に見せたい。

達成したい夢の1つはエッセイ本の執筆。人生やキャリアに迷っている人や自分と向き合いながら一歩踏み出そうとしている人にとって、お守りとなるような本を書きたいという。さらには全国を巡ってクライアントやコミュニティメンバーに直接会いながら、各地でトークイベントをしたいという夢もある。

「大人ってこんなにも楽しいんだよ、ってカリスタに背中で見せてあげたい」と目を輝かせながら話す純さんの挑戦は続く。

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