ファミリーマートが3月、“ファミチキ越えの問題児”として発売した「クリスピーチキン」(税込み145円)。数量限定のハバネロホット味は発売開始後瞬く間に完売し、半年後の10月19日に再発売したところ、3日で500万食を突破しました。その後も11月7日時点までの20日間で790万食を超えるなど、好調をキープしています。

クリスピーチキン(ハバネロホット)税込み145円

ファミマのカウンターFF(ファストフード)の中でも、ここ数年で一番辛いというこの商品の裏側を、開発担当の河口美砂さんに取材しました。

辛さで差別化、相乗効果も

―まず、クリスピーチキンという商品の特徴について教えてください
凹凸感のある衣で、カリッとした食感が特徴です。お肉は、ファミチキはもも肉を使っていますが、クリスピーチキンはむね肉を使っています。一度も凍結せずにチルドで新鮮な状態のまま使っていまして、パサパサしがちなむね肉を、しっとり柔らかい食感に仕上げています。また、重量もファミチキよりも3割ぐらい軽く、非常に手軽に食べられて、女性や子どもにも受け入れられている商品です。

クリスピーチキン(プレーン)税込み145円

―ハバネロホット味の誕生と、再発売までの経緯を教えてください
ここ数年、辛味が強い商品のトレンドがすごく高まっていたので、ただの「ホット」ではなくて、唐辛子にハバネロを加えて「ハバネロホット」という、 ちょっととがった趣向の商品で、数量限定で発売をすることにしました。
その後、発売してすぐに完売してしまったのと、復活を望む声をたくさんいただいたので、増産に乗り出しました。しかし、香辛料系は原料がとても多く、その原料を各国から調達するのに時間がかかりますし、国外で製造しているので日本に持ってくるまでにも時間がかかります。中途半端な数量を用意するよりも、今度こそ品切れのないように準備しようということで、ようやく10月に販売を再開できました。

―辛さの程度は
ハバネロという品名に負けないようにちゃんと辛い、限界ギリギリの辛さにしようということで、1個を水なしでギリギリ食べられる辛さに設定しています。
発売前、社内で商品部以外の人間にも試食してもらったんですが、「辛すぎる」という声もたくさんあったので、発売する前まではすごく心配で「辛すぎたかな?」と不安でしたが、結果的には辛さで支持いただける人がたくさんいましたし、差別化もできたので良かったと思っています。

―再発売後の売れ行きをどのように捉えていますか?
ファミチキはバラエティ商品が出ると、競合してしまうことで、定番のプレーン味の売上がだいたい落ちるんです。今回のクリスピーチキンは逆で、ハバネロホットに引き上げられてプレーンも売れたというのが特徴的ですね。10月19日以降、プレーンの売上も2倍になり、ハバネロホットも同数くらい売れています。SNS を見ていても、「2つ買って食べ比べ」というような投稿も多く見られたので、そこがファミチキと違ってプラスで売上が作れた要因かなと思います。

ハバネロホットがプレーンの売上も押し上げた

―今後の展開について教えてください。
ハバネロホットは復活後もやっぱり好調なので、プレーンに次いで定番化をしていきたいなと思っています。それに加えて3~4か月に1回くらいは、季節のバラエティ商品の展開もしていきたいなと考えています。

取材を終えて

激辛好きの筆者も実際に商品を食べましたが、「おっ、しっかりと辛いな」というのが一口目の印象でした。ハバネロの辛さと同時にうま味も感じ、さくさくと食べ進めることができました。むね肉を使っているからか重たさも感じず、そこが2個の食べ比べにもつながっているように感じました。

河口さんたちは既に、新しい味のクリスピーチキンの発売に向けて準備を進めているということで、今後は3つ4つ?と食べ比べる人が出てくるかもしれませんね。

この記事の写真一覧はこちら