小豆島は今、オリーブ収穫の最盛期。

日本におけるオリーブ栽培発祥の地、香川・小豆島。島内のいたるところにオリーブ畑がある小豆島では、今、オリーブの収穫と採油の最盛期を迎えています。小豆島町にある東洋オリーブ株式会社の工場に潜入し、こだわりのオリーブオイルの採油の様子を取材しました。

東洋オリーブ株式会社 広報部の佐々木さん。

「2021年のオリーブの収穫量は約80トン強の見込み。そのうち、新漬けオリーブ用が13トンで、残りの約70トンの実をオリーブオイルにします。スタッフが毎日農園に出て、日々変化する気象状況と果実の熟れ具合を見極めて一つ一つ手摘みしています」

シーズンの始め頃は緑色のオリーブの実。これから少しずつ熟れて赤みが増し、完熟すると黒くなります。

東洋オリーブでは2018年に国内最大の採油機を導入。1時間に600キログラムもの実を処理できる機械です。工場内には収穫してから24時間以内の果実が山積み。それをスタッフが次々に機械に投入していきます。

投入口に入った果実はコンベアで運ばれていきます。

まず最初の工程は「洗浄」。

まずは果実をていねいに洗浄します。一つ一つ手摘みした実は、機械で収穫したものに比べてキズや汚れも少ないとはいえ、屋外で育ったもの。洗浄は大切だといいます。上から水をかけたり水のなかをくぐらせたりして、細かな汚れまで取り除きます。

実も種も一緒に練り込みます。

洗浄を終えてきれいになったら、次は「練り込み」の工程。実を細かく砕いてドロッとしたペースト状になるまで練り、油を取り出しやすくします。今はほとんど緑の実ですが、オリーブが熟れて黒い実が増えてくると、このペーストも赤黒い色になります。

遠心分離機。工場内には機械の大きな音が響いています。

練った実を遠心分離機にかけ、固形分と水分に分けます。固形分は果実や果皮、種など、水分は果汁とオイルです。一度遠心分離機にかけただけでは、まだオイルと果汁などの水分が混ざった状態。もう一度、さらに回転数の多い遠心分離機にかけ、ようやくオイルだけが取り出されます。

1度目の遠心分離機にかけて出てきた水分。

種や実などの固形分は、搾りかすとして排出されます。

こうして固形物や果汁を取り除いてできるのが、オリーブオイルです。これからさらに、2度のろ過作業を経て、クリアな透き通った黄金色のオイルが完成するのです。

2度目の遠心分離機を経て出てきた、搾りたてのオイル。

オリーブの搾りかすはオリーブ牛の飼料に

小豆島といえば、香川県のブランド牛「オリーブ牛」が生まれた地でもあります。オリーブ牛は、オリーブオイルを搾った後の搾りかすをエサとして与えた牛。東洋オリーブでは、その搾りかすを2010年から毎年、オリーブ牛の生産者へ提供しています。

「もっとたくさんの人にオリーブに興味を持ってもらいたい」と佐々木さん。

「じつはオリーブの実から採れるオイルはほんのわずかで、搾りかすはオイルの倍の量が出るんです。毎年たくさんの搾りかすが出て、一部は肥料にするなどしていましたが、その処理にはずっと手を焼いていました」

搾りかすを乾燥させて牛を育てる飼料にしています。

それまで処分されていた搾りかすがおいしいオリーブ牛を育て、それを食べた人がまた小豆島やオリーブに興味を持ってくれる。そんないい循環が生まれています。また、東洋オリーブではオリーブの剪定枝を粉砕して発酵し、肥料として再度オリーブ畑に戻すという循環型農業にも取り組んでいます。

小豆島産エキストラバージンオリーブオイル「手摘み」。

オリーブの収穫は、12月まで続きます。時期の始めに搾ったオイルはフレッシュでスパイシー、終わりの時期はフルーティーでまろやか。2021年の小豆島産オリーブオイルは、11月上旬から各社で発売されているので、今だけのおいしさを味わってみてはいかがですか。

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