♪道歩いてたらカニくれた しかも生きてる~!!

大根ポストに刺さっとる え?これ誰から?

852 535ってなんの暗号? あ、船の時間ね!

ガス屋も電気屋も 呼んだらすぐにかけつける 最短3分で来ました!

じーじもばーばも英語ペラペラ

子供の遊び場 現代アート

町営バスがやたらグローバル

人口3,000人だけど お客さん70万人 わ~お!

これは、瀬戸内海に浮かぶ、香川県・直島での楽しい暮らしぶりを歌った『あるある直島』のフレーズです。作詞したのは東京で映像ディレクターをしていた、福島真希さんです。夫で音楽プロデューサーの節さんが作曲と歌を担当しています。

『あるある直島』 企画・演出:福島真希(Ongakushitsu Inc.) 作曲・歌:福島節(Ongakushitsu Inc.) 作詞:福島真希(Ongakushitsu Inc.),まつざきしおり  イラスト:まつざきしおり

福島さん夫妻は、3年前に家族で直島に移住してきました。歌詞にもあった通り、直島の人口は約3000人程ですが、コロナ禍になる前の2019年は観光客が70万人を超えており、現代アートの聖地として人気を集めています。小さな島内には複数の美術館があり、港や住宅地にもアート作品が点在しています。

「多摩美術大学でグラフィックデザインを学んでいたのですが、2004年に『瀬戸内海に面白い美術館があるらしい』という噂を聞いて、大学2年生の夏に、青春18きっぷで初めて直島に来ました。その時は港がのどかで、ほとんど人が居なくて、『本当にここに美術館があるの?』っていう感じでした。まずはレンタサイクルをして、うどん屋さんに行こうと思ったら休みで、暑い中汗だくで自転車をこいで地中美術館に行ったら、定休日でした(笑)。でもやっぱりどうしてもその美術館に行きたくて、翌年にまた来て、すごく感動しました」

福島真希さん(真希さん提供)

2010年には、瀬戸内海の島々を舞台に開催される現代アートの祭典、瀬戸内国際芸術祭が始まりました。世界中からアーティストが集います。社会人になった真希さんは、直島に通うようになります。

「来るたびに、綺麗になったなとか、こんなカフェが出来てる!とか、面白いくらいに発展していく島を見て。毎年7月の連休に『直島が呼んでる気がする!』って(笑)。東京発の深夜バスに飛び乗って、島を周って、帰りもまた深夜バスに乗ってそのまま仕事に行くっていう感じでした。結婚前に節さんとも島を訪れて、『老後に住みたいね』なんていう話をしていたんです」

直島

CM業界の第一線で忙しく活躍する2人でしたが、妊娠・出産を機に、真希さんは都会の窮屈さや、これまでに感じたことのない孤独を感じるようになりました。仕事と育児の両立がうまくいかず、ジレンマを抱えていたのです。

福島さん家族(真希さん提供)

そんな時にまだ小さかった娘の渚ちゃんを連れて直島へ向かいます。滞在中に、アトピーだった娘の肌がきれいになったことに驚きました。帰り道、真希さんは「直島古民家シェア暮らし」という漫画を読んで、「ここで子育てしたい。移住するなら老後じゃなくて今かも!」と思うようになりました。それは、後に『あるある直島』のイラストを描くことになる、まつざきしおりさんの作品でした。

驚く周囲を説得し、家族で憧れの直島への移住を果たしました。夫の節さんは平日は東京、週末は直島という2拠点暮らしが始まりました。島の暮らしを教えてくれたのは、たまたま隣に住んでいた、おじいちゃんとおばあちゃんでした。

渚ちゃんと島のじーじ(真希さん提供)

「ものすごい楽しいなぁって。生きてるタコをもらって、どうにもできない!って、ばーばの家に持っていったら、タコ飯になって返ってくる、みたいな(笑)魚を捌いてもらったり、冬は火鉢で温まったり。人生の豊かさを教えてもらっている感じです」

島の人との関わりが増えるとともに、シャイだった渚ちゃんは、どんどん明るく活発になっていきました。

「香川の人は、人を繋ぐのが上手だと思いました。面白い人は面白い人と繋がっていて、楽しい人と沢山出会いました」

稲刈りをする渚ちゃん(真希さん提供)

節さんは、島に来てとても社交的になり、前にも増して穏やかになったそうです。

「海が近いこと、鳥の声が聞こえること、車の音がしないこと、夜は鈴虫の声しか聞こえないことってすごく大きいと思います。地元の人の中には、『何にもなくて不便だ』って言う人もいますけど、外から来ないと分からない良さって、やっぱりあると思います」

何もない日は家族で歌を(真希さん提供)

ドラッグストアも洋服店も無い島に移住してから、真希さんは、お金を使うことも少なくなったと言います。友達と会うときは家からお茶を持参して砂浜へ行き、子どもたちは海で遊びます。何もない日は家族で歌を歌ったり、渚ちゃんがそれに合わせて踊ったりして過ごします。

海でのんびりする渚ちゃん(真希さん提供)

魚を貰って捌いたり、わかめを拾いに行ったり。冬は一番海苔、春になったら、つくしやイタドリが美味しいことを知りました。
「あれ?お財布どこだっけ?なんてこともよくあります(笑)」

海で遊ぶ(真希さん提供)

「コロナ禍になって特に『瀬戸内いいな』と言われることが増えました。東京の友達、みんなここに来ればいいのにって、本当にそう思います」

真希さんのこれからの目標は、夫の節さんの、もう一つの表現の場を作ることだそうです。それは、東京の仕事だけではなく、瀬戸内でシンガーソングライターとして活躍することです。娘の渚ちゃんの歌も島の人達に大人気のようです。

「私の想像をはるかに超えて、みんなに面白がってもらっています」

海で歌う渚ちゃんと節さん(真希さん提供)

最後に真希さんから、これから移住したい人へのアドバイスをいただきました。
「オープンな気持ちでなんでも楽しんでもらいたい。農業のお手伝いとか、おとなりの草刈だとか、そういう一つ一つが楽しいですよ。」

そんな福島さん家族の島暮らしを追ったKSB瀬戸内海放送の番組『せとスタ~島に移住したら人生がキラリ☆した~』が、9月25日(土) の10時55分から放送されます。番組内では、福島さんご家族がテーマソング『瀬戸の便り』を披露しています。真希さんが作詞、節さんが作曲、歌は渚ちゃんが担当しました。

放送後にはKSB瀬戸内海放送のウェブサイトで、見逃し配信も行われます。

KSB瀬戸内海放送 高松本社にて

※『あるある直島』の動画は、福島節さんのYouTubeチャンネルから見ることができます。

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