新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、日常生活は一変してしまいました。常に身につけなくてはならないマスクは息苦しいし、気軽に屋外へ出られず気分は晴れません。緊張した心を抱えながら生活を続けるのは無理なことで、束の間の休息は必要でしょう。

「てくてく TAKE OUT マルシェ」は、ささやかな交流の時間を提供する、少しだけ立ち寄れるマルシェイベントです。主催者のAtelier sora design(アトリエ ソラ デザイン)の西山まきさんに、イベントの詳細について聞いてきました。

小規模で少しだけ立ち寄れる場所

会場のパティスリー ルヴェール

岡山市と倉敷市で開催されている「てくてくTAKE OUT マルシェ」。2か月に1度、岡山県倉敷市広江にある洋菓子店「パティスリー ルヴェール」の店舗で定期開催されています。

外出自粛生活が続くなかで、緊張した気分を休めてほしいという思いから、ささやかなマルシェイベントを続けているのです。

2021年6月5日に開かれたイベントは規模を縮小しての開催となり、洋菓子店、コーヒー店、カレー店、木工雑貨店の4店舗が出店。小規模でありながら、マルシェイベントとして十分に満喫できる店舗がそろっていました。

マルシェイベントと聞くと、屋台が軒を並べ、大勢の人が集まるにぎやかな場所を想像しますが、「てくてくTAKE OUT マルシェ」は、小規模なイベントとすることで、少しだけ立ち寄れる場所を提供しています。

商品はテイクアウトのみで販売。

会場内での飲食はできず、滞在時間の短縮を目的にイスは用意されていませんでした。入場前の手指の消毒はもちろん、2組までの入場制限を実施しています。

ささやかな休息の時間を

「てくてくTAKE OUT マルシェ」の主催者、西山まきさんに、イベントの詳細について教えてもらいました。

「てくてく TAKE OUT マルシェ」主催者の西山まきさん

──マルシェを始めたきっかけは?

西山(敬称略)──
初めてマルシェイベントを開催したのは、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大した2020年3月です。外出できない自粛生活を続けるなか、スーパーマーケットに出かけるだけで心が落ち着くことに気がつきました。そこで、少しの時間だけ立ち寄れるようなささやかなマルシェイベント「軒先マルシェ」を、私が経営するカフェの駐車場で企画。ソーシャルネットワーキングサービスを利用して参加者を呼び掛けたところ、大きな反響がありました。

その後、マルシェイベントを訪れた人の紹介で、岡山市北区津島の空きテナントでの開催を勧められ、2020年5月に「てくてく TAKE OUT マルシェ」としてスタート。小さいながら近隣の住民が足を運んでくれるマルシェイベントとなり、好評をいただいています。

──パティスリー ルヴェールでの定期開催の経緯は?

西山──
主に岡山市を中心に、複数の場所で不定期に「てくてく TAKE OUT マルシェ」を開催してきました。ファンになってくれる人はいたものの、日時も場所も不規則なイベントは足を運びにくいと思います。定期的に開催することで、ファンになってくれた人が訪ねやすい場所を作りたかったのです。

注文後にカスタードクリームを生地に注いで完成

ルヴェールは、2020年3月の最初のマルシェイベント「軒先マルシェ」の出店者でした。移動販売のみの洋菓子店を営んでおり、倉敷市広江の実店舗は閉店していたそうです。そこで、ルヴェールの店主に使われなくなった店舗を活用しようと提案。

最初は、気が進まなかったようでしたが、実際に開催してみると大盛況。実店舗で販売していたころのルヴェールのファンが、待っていましたとばかりに来場したのです。2020年10月にルヴェールの店舗で「てくてく TAKE OUT マルシェ」を開催してから、ファンに支えられて6回目の開催となりました。

──マルシェイベントを続けている理由は?

西山──
新型コロナウイルス感染症が広まっている状況下でも、飲食店では営業時間を短縮するなど柔軟な対応を実施しています。多くのマルシェイベントでは開催するか中止にするかの二択の判断をしており、状況に合わせて柔軟に対応してもよいのではないかと疑問を覚えました。

イベントを中止にすることは簡単です。イベントの規模を縮小したり、テイクアウトのみの販売にしたり、臨機応変にサービスの内容を変えてもよいのではないでしょうか。ささやかな休息の時間を近隣の住民に提供したいという思いから、状況に合わせた工夫をして「てくてく TAKE OUT マルシェ」を続けています。

──どういったマルシェイベントにしていきたいですか?

西山──
小さなマルシェイベントという方法を独り占めしたいのではなく、多くに人に知ってもらい、実践してほしいと考えています。「てくてく TAKEOUT マルシェ」という名前には、子供でもてくてく歩いて行ける距離のマルシェイベントという思いを込めました。身近な距離にある場所で、心が休まるささやかなイベントが行なわれるようになり、たくさんの地域に広がっていけばうれしく思います。

おわりに

外出自粛生活のなかで、息苦しさを感じている人は多くいます。感染拡大防止は優先しなくてはならないことだと思いますが、他者との関わり合いを完全に無くして生活することは困難でしょう。

感染を拡大させないためにやめるという一択ではなく、工夫をしながらイベントを継続するという判断もあってよいと思います。筆者も、テイクアウトした洋菓子を味わうことで、久しぶりに心の空気を入れかえることができました。

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