尊敬する人の姿から、改めて自由について考える

Junpeiさんが「自由」について改めて考えたエピソードがあります。2016年10月からケニアの孤児院「モヨ・チルドレン・センター」に1か月間滞在し、子どもたちと寝食を共にしました。教室の運営を日本のスタッフに託しての旅立ちです。理由は「設立者・松下照美さんに会いたくなったから」。

松下照美さんとJunpeiさん

松下さんは、48歳の時にウガンダへ行き、現地のボランティア活動を経てケニアに移住し、孤児院を設立したという経歴の持ち主です。活動場所は、危険なストリート。シンナーなど薬漬けになった子どもたちを路上で保護し、孤児院で育てます。そこは、生と死が隣り合わせにある世界。快楽ではなく空腹を忘れるためにシンナーを吸ったり、両親を餓死のせいで失ったり、親に捨てられながらも生き抜く子どもたちと接する世界でした。

松下さんの精力的・献身的な活動を傍で見たJunpeiさんは、問いました。「なぜ、そこまでできるんですか?」
いつも決まって、松下さんはこう答えたと言います。「好きだから。楽しいから。自分がやりたいから、勝手にやってるだけよ」

周囲の目などは全く気にせず、自分の“好き”1点張りの松下さん。松下さんの言葉は、Junpeiさんの心に響きました。
「好きなことをやれないで生きる、ってどうなの?」

モヨ・チルドレン・センターにて、松下照美さんと子どもたちといっしょに

松下さんは現在、日本の病院で抗がん剤治療を受けています。
「電話越しでもせき込んでいて、辛いはずなのに『年内にはアフリカに帰るから』と強気でした。その姿から『これが信念を持って生きる人なんだ』と衝撃を受けました。僕はもっと自分勝手に生きていいんだと」

Junpeiさんは「松下さんと比べて自分はまだまだ足りない」と感じたと言います。
「自分の好きなことを突き詰めていく純粋さに、人は惹かれるんだと思います。照美さんの純粋さはガラスのように澄んでいて、向こうが見えるほどの美しさ。それに比べて僕のガラスはまだ濁っています。もっと透き通った“好き”へと磨いていきたい」

「もし明日死ぬとしたら」自分に問いかける

挑戦し続けるJunpeiさんの夢は「早期リタイア」。さまざまなことにチャレンジしても「まだ見えていない。自分が本当に何をやりたいのか、突き詰める時間が欲しい」と語ります。

「もし明日死ぬなら何をする?と問われたら、僕は照美さんのことを想像します。彼女は、やりたいことができていないと生きている意味がない、とまで言います。僕も彼女のように、言い切れるものを見つけたい」

「自由に生きよう、本当に好きなことをしよう」と発するメッセージ。そして自身へ投げかける「もし明日死ぬとしたら何をする?」の問い。松下さんがアフリカの子どもたちへ抱くような透き通る“好き”を目指し、Junpeiさんはますます歩み続けます。

この記事の写真一覧はこちら