ゲーム、プラスアルファがeスポーツの価値を変える

生徒は小学生が中心。知らない誰かとプレーをするわけではないので、親の目から見ても安心だ

サービスを開始した真鍋さんが特に印象的に感じたのは、子どもたちの学びに対する姿勢の変化でした。

「塾とか習い事って嫌じゃないですか。僕も塾サボってゲームセンター行ってましたけど、(eスポーツ英会話は)全然違うんですよね。学校から帰ってきた瞬間、ランドセルも下ろさず『お母さん、今日、eスポーツ英会話の日だよね』って声かけてきたりとか」
「レッスンの前に渡しているテキストを初回に全部予習してきちゃって。早く使いたい、みたいな」

定期的なユーザーインタビューから見えてきた生徒の貪欲さは、eスポーツ英会話を提供する真鍋さんたちにとっても大きなやりがいになっているそうです。自発的に学ぶ姿は当然、親の立場から見てもうれしいもの。コロナ禍を受けて増加したゲームのプレー時間を学習の時間に変え、その価値を高めること、ひいては子どもの側から後ろめたさをなくすことは、構想段階からの狙いでした。

一方でうれしい誤算もありました。レッスン終了後の生徒が、引き続き英語での会話を楽しみながらプレーを続行するようになったのです。真鍋さんによれば、eスポーツ英会話における英語は、あくまでもツール。むしろ自身がゲームセンターで体験したような他者との関わりにこそ重点を置いていましたが、結果として子どもたち自身がそういった場を築いていたのです。

さらには英検合格という、目に見える成果を残す生徒も。その姿に刺激を受けた別の生徒が英検に興味を持ち、勉強を始めるといった連鎖反応は、ゲームが取っ掛かりであるがゆえに生まれたものでしょう。

eスポーツ英会話のサービス開始から1年弱。着々と足場を固め、実績を積み上げてきた真鍋さんですが、その目はまだまだ先を見通しています。現在取り組んでいるのは、ゲームの展開に沿ったレッスン内容を、より実用的なものに変えるカリキュラムの開発。プレー中に発生する待機時間での雑談などを通して、日常会話に必要な英語力を養おうと考えています。

あくなきサービス向上に取り組む真鍋さんを駆り立てるのは、eスポーツの裾野を広げ、社会的意義を定着させたいという、ゲシピのミッションにもある思いです。

「他のスポーツのように当たり前の余暇というか、レジャーというか。人生を豊かにするためのツールになっていくといいなと思っています」

「単なる消費の時間」から、実りある豊かな時間へ。eスポーツ英会話という他に例を見ない試みは、eスポーツそのものの市民権をより強固なものにするはずです。

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