無料子育て相談で、お母さん一人ひとりの悩みに寄り添う

公式LINEでの無料相談サービスには現在125名の母親が登録していて、さまざまな悩みが寄せられているそうです。実は1歳の子どもを育児中の筆者、公式LINEに登録して、子育ての悩みを送ってみました。すると、澁谷さんから想像をはるかに超える情報量でアドバイスが返ってきました。内容のわかりやすさももちろんですが、何より「本当に母親である私のためを思って」書かれているように感じました。

「最終目標は、産後に助産師が必要ないくらい出産前にお母さんが支えられ、お産を迎えるにあたり、自分の体を信じ、子育てに不安がない状態になること。お産をしたら、子供が可愛くて仕方がなくて、ゆとりがあり、自然に手を出しておっぱいを含ませてあげられるようなお母さんが1人でも多く増えてほしい」そんな澁谷さんの思いが、言葉のひとつひとつに溢れています。

堤さんは、自身が出産した産院などに協力を得て、出産前〜生後15か月の子どもを持つ母親向けに、アンケート調査を行っています。「子どもが生後間もない時期は、1週間ごとに困りごとが変わっていきます。それを拾えれば新しいサービスに繋げられないかと考えています。さらに今はコロナ禍なので、コロナで生活がどう変わったかもあわせてヒアリングしています」

コロナ禍でもリアルな繋がりを絶やさない

コロナ渦で、イベント運営はなかなかできない状況でしたが、あくまでリアルな対面での繋がりにこだわり、万全の対策をとって少しずつ始めています。

「津山市でクラスターが発生したとき、いつもお世話になっている食堂の食材が余ってしまい、LINEで呼びかけたところ、お母さん方が協力してお弁当を注文してくれました。お弁当を届けたお母さんから『怖いから、ますます引きこもらないと』といった声や、『子どもが喘息の発作でせきをするので、周りの人の目が気になって出かけられない。子育て支援センターにもいけない』という声を聞きました。そんなお母さんたちが、訪問した私を“待ってました!”と家に招き入れてくれるんです。家族以外の人と久しぶりに会えた、という喜びが体中から溢れていました。それを見て、人と人とのつながりは本当に大切だなと実感しました」

澁谷さんと堤さんは、そうした母親たちの姿を見て、ただイベントを中止にするのではなく、換気をこまめにしたりマスク着用を義務づけたりするなど対策を徹底することで、人の温もりのあるイベントを絶やさないでおこうと心に決めたそうです。

最近では、離乳のお話会やベビーマッサージ、産後すぐのママのためのヨガ教室を企画。筆者もヨガ教室に伺いましたが、ヨガ講師も育児中のママなので、自然と話しやすい雰囲気に。子育てや産後の体のことについて話が盛り上がりました。取材した日は、津山市外から参加するママさんも。

赤ちゃんもママのそばでリラックス。

その中の1人、牧嶋千春さんは神奈川県出身、以前は京都に住んでいましたが夫の転勤を機に岡山県美作市へ。文字通り「縁もゆかりもない」ところで初めての出産を経験し、自宅にこもりきりで長女の世話をしていたといいます。そんな中、ネットでたまたま目にしたこの日のヨガ教室に初めて参加。「久々に夫以外の人と話をしました。ヨガも久々で、きょうはとてもリフレッシュできました」と笑顔を見せていました。

赤ちゃんと一緒にリラックス。

(講師の木多さん)
「姉の出産と子育てを見ていて、お母さんは本当に大変な仕事だと痛感、お母さんの体が少しでも楽になればいいな、と、お母さん向けのヨガワークショップを始めました。“きょうもあれができなかった、これができなかった”と、できない自分を責めるのではなく、きょうは子どもとずっと一緒にいれた、と、できた自分を褒めてほしい」

3月には公園でヨガを楽しむ「パークヨガ」を数回開催。計14名が楽しみました。

青空の下でベビーヨガ。赤ちゃんも芝生の上を駆け回る!

子育て経験豊富な地域の人が赤ちゃんの世話をサポート。ママは安心して過ごせます。

日頃の育児で凝り固まった身体を、自然の中でほぐしていきます

4月22日には、妊娠中のママさんとのお散歩会を企画しています。「ハローベイビーを妊娠中から知ってもらい、出産や育児を不安に感じるお母さんと1人でも多く繋がりたいんです」。

お母さんが幸せになれば、世界は平和になる。

出産直後の母親は大変なストレスを抱えています。昨今問題になっている「産後うつ病」は約10%の罹患率があり、産後3か月以内に発症することが多いです。初産だとより発症率が高まるというデータもあリます。また、厚生労働省から毎年発表されている、児童相談所での児童虐待相談対応件数は年々増加傾向にあり、背後には保護者の精神不安や育児ストレスなどが存在すると考えられています。

「お母さんが幸せになれば、世界は平和になる。」それがこの取り組みの目標だといいます。

そんな思いを胸にして活動を続ける2人の取り組みが広がることで、自分に自信を持って子育てができる母親が1人でも増えることを願っています。

この記事の写真一覧はこちら