パーマカルチャーとの出会い

三村さんがパーマカルチャーの理念に出会ったのは、アメリカのオレゴン州・ポートランドでの視察旅行です。現地では、まちづくりに取り組む団体や教育現場などへ視察し、パーマカルチャーやシティリペア(都市再生運動)について学びました。そこでの学びが、三村さんの心を大きく揺さぶりました。

「自分たちの好きなことや得意なことを活かして、自分たちの住む地域で、新しい未来をつくろうとするおもしろい人に出会い、とても刺激を受けました。情熱、使命感、意図をもった行動…。自然を活かしながら、自分たちの住むまちを、自分たちの手でつくろうという彼らの行動すべてに「愛」があふれていました」

ポートランドでの視察風景。交差点ペインティングの周りにある24時間お茶が飲めるティーステーション。(三村さん提供)

地域に住む人たちの手で創り上げられたカラフルな交差点、近所の人たちがお茶を飲みながら語らうことのできるティーステーション、食を通じて、人と社会を変える仕組みエディブルスクールヤード(食べられる校庭プログラム)など、自分たちの手で自分たちの暮らす居場所、みんなが集まることのできる場所をつくっていこうとする人たちにとても刺激を受けたといいます。

ポートランドでの視察風景。自然をフィールドにパーマカルチャーについて学ぶ。(三村さん提供)

「地球を守る」という夢を叶えるために

徳島での生活に区切りをつけて、妻の故郷である奈義町に移住してきた三村さん。

「奈義町はコンパクトで、自然環境に恵まれていて、パーマカルチャーの理念を取り入れた活動をするのに最適だと思っています。ポートランドで、愛情と情熱をもって地域をよりよくしていく活動を小さなことから始めて継続していくことが大事だと聞いて、『自分も何かやるしかない!』と思いました。林業の現場で、奈義の自然から自然のことを学びながら、自分のできることを少しずつやっていきたいです」

山主に山の状態を伝えるために、木を植える間隔や進行状況について、山の手入れをする作業者と話をする

幼い頃の夢「地球を守ること」を叶えるために、限りある資源の中、自然と人を大切に、地球に対して自分は何ができるか、地球市民としてどう生きていくかを考え続ける三村さん。

「今考えているのは、那岐山の登山口などでのティーステーション。人と自然がつながる場づくりをしたいなと思っています。山や自然を通じ、そこに集う人たちが『どんな町にしたいとか、どんな未来つくっていきたい』とか、自由に情報交換しあい、その考えや発想を地域に還元していけたらなと」

木の実や枝をかき集めて、地域の人と一緒にリースづくりのワークショップを開催(2020年12月)

パーマカルチャーで大事にされている価値観を大切に、「愛情と熱情をもって永続性のある地域社会をつくる」。三村剛史さんの新しい挑戦が始まります。

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